こんにちは。二回目の登場、千倉班の根岸です。梅雨でじめじめとした天気ですが、皆様いかがお過ごしでしょうか。私は、毎朝湿気でまとまらない髪の毛と格闘しています笑
さて、今回のゼミでは、前半は前回の続きの作品の見取り図発表、後半は物語の構造についての学習をしました。
まずは作品の見取り図発表。前回時間の都合で発表できなかった4人が①インタビュー対象者の人生を別の事柄に例えるとしたら、どうなるか?②インタビュー対象者にとって南房総はどのような場所か。別の事柄に例えるとしたらどうなるか?③自分はインタビュー対象者の人生と南房総という場所を通じて、何を考えたいか。ということを発表しました。他の人の発表を聞いていると、独創的な例えがあったり、自分では思いつかないような考え方をしている人がいて、とても参考になりました。自分ももっと違う側面から対象者の方を考えられるかも、と思いました。
次に、物語の構造について、先週の続きでジェラール・ジュネットの『物語のディスクール』から語り・語り手と焦点化・焦点人物を学びました。
語りには、物語世界内の人物、つまり登場人物(=私)が物語を語る一人称の語り手、「あなた」という視点で語る二人称の語り手、「彼・彼女」などの三人称の視点で語る三人称の語り手という、三つの種類があります。
二人称の語りは、「あなた」に対して語り掛けるような語りなので特殊です。なので、一般的な小説では基本的に一人称の語り手と三人称の語り手が採用されています。
一人称の語りはあたたかく情緒的であり、臨場感があるというのが特徴で、三人称の語りは自由に、複数の人の視点から物語を描くことができるのが特徴です。

物語世界の描かれ方として誰の視点を採用するか、という焦点化にも三つの種類があります。
焦点化ゼロは、いかなる視点も採用しませんが、あらゆるもの、人物の内面まで描写することができるので「神の視点」、「全知の語り手」と呼ばれています。
内的焦点化は、登場人物の視点から物語内容を喚起します。内的焦点化には、固定・不定・多元と三つの種類があるのですが、この説明は後程!
外的焦点化は、登場人物など対象の外面のみを描写します。心情は書かず、様子しか写さないというカメラの視点から語ることから「カメラ・アイ」とも言います。

そして、語りと焦点化を組み合わせることで世の中にある小説がどのように物語世界を語っているかを説明できます!
・一人称の語り ×
「固定内的焦点化」 一人の人(主人公)がずっと語り手。物語内で語り手が変わらない。
「不定内的焦点化」 語り手=「私」が語るが、語り手が変わる。
「多元内的焦点化」 語り手が変わる。不定内的焦点化と違う点は、多元内的焦点化は一つの出来事をさまざまな人の視点から語るということで、物語内で時間が進まない。
・三人称の語り ×
「焦点化ゼロ」 客観的に語る。ex) 「彼はコートの襟を立てた」
「内的焦点化」 人物の心情などが入る。ex) 「真田はストーブがお気に入りだった」
「外的焦点化」 外面だけを描くため、ハードボイルド小説に用いられる。
どうでしょうか?なんとなくわかりましたか?普段何気なく読んでいる小説も語り方によってこのように分類できますね。
他にも、ウラジーミル・プロップによる物語の機能についても学習しました。彼は、長くなるのでざっくり言うと、物語には共通する筋がある、ということを主張しています。実際に、冒険譚、成長譚、シンデレラストーリーといった王道といわれる物語は共通した構造を持っています。このような話は、皆が知っているため受け入れられやすいですが、物語が平凡になってしまうといった危険があります。
私たちゼミ生は対象者の方の人生を小説にするので、対象者の方の人生をそのような「型」にはめてしまうことは少々危険なことであり、よくよく考えながら物語を作っていく必要があると考えさせられました。
ここまで長々とお付き合いいただきありがとうございました。ブログを書くことで物語の構造への理解がさらに深まったような気がします(笑)あともうすこしで春学期も終了ですが、残りのゼミも頑張ります!
では!